お金持ちのマニキュア

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福祉のお仕事をしていると色々な人に出会います。訪問介護をはじめて、そらはもう10年以上たちますが、まあ世の中には色々な人がいるもんです。

普通に生きていたらまず、一生出会うことのない、関わることのない人に出会うことがあります。

今日は、その中のとあるお金持ちさんの女性80代Aさんのお話。

ヘルパー(訪問介護員)を初めて数年がたったころ

そらは、ちまたでは高級と言われる有料老人ホームの利用者宅へ行くことになりました。

初訪問の日。部屋の作りは普通のマンションタイプでお部屋もきれいにしてありましたが、まず発見したのはカーテンにソファー。

カーテンはテレビでみるお金持ちさんの家みたいにちょっとたるませてとめてあり、みるからにお高そうです。

ソファーのクッションは同じ間隔でひし形においてありました。

そらはそれをみて、あ、神経質な方かも、とそらアンテナが反応しました。

Aさんはお高そうな1人用のソファーに座って出迎えてくれましたが

服こそパジャマでしたがメガネには金細工がまざり、指には大きな指輪、マニキュアもしっかり。あ、お金持ちさんだ、と判断。

Aさんは、まずはお座りなさいと、和紙に書かれた達筆なお習字書きを1枚見せてくれました。

その和紙、なんと

履歴書でした。自分の素性をお話くださいます。

自分の実家は病院で、どこどこ学校を卒業し、どこどこの跡取りと結婚した。戦時中の軍医で色々幸を立て、皇室の園遊会にもよく招かれていた。

地元に帰ってからはとある大病院設立メンバーとして今も写真が病院に飾られている…

という、聞けば聞くほど一般ピープルのそらにはよくわからない世界を語るAさん。

まあよくわかりませんが、由緒あるお宅のお金持ちさんと言うのはわかりました。

Aさん宅のお仕事はお掃除、お買い物。

始めに思った通り、かなり神経質な方でした。

ホームの職員の対応などを細かく批判したりします。

Aさん、挙げ句の果てには信用できんと自腹で監視カメラを取り付けました。(もちろんホームには内緒で、ああ怖い)

1個1個作業を確認してAさんの望むようなお掃除をできたことで、Aさんはそらを気に入ってくれたようでした。

が、てこずったのはお買い物です。

メーカー指定であればまだ楽なのですが、指定がないので、買うもの買うものどうもお気に召さない。

途方にくれたそらはついに

この店で一番高いのどれですか

とお店で聞くようになりました。

ティッシュペーパーでもコットンパフでもトイレットペーパーでも、なんでもかんでも、この店で一番高いのどれですか?

するとどうでしょう。Aさん、あれ良かったわ、と言ってくれるように。

もちろん、一番お高いやつですなんていいません。お金に糸目はつけない人だったので、清算のときも聞いているのか聞いてないのか。はいはい、と。おつりを直します。

多分いいものを使いなれているんでしょう、Aさんに金額の価値はわからなかったとしても、やはり値段のしこあるんだと思った瞬間でした。

あるとき、マニキュアを買ってきてといわれました。

こればかりは慣れたいろがいいのか指定されましたが、お店でみると、やっぱりお高いマニキュアでした。

Aさんがそらに言います。マニキュアはね、足元は派手にしてもいいけど、手元は肌に馴染む色にするの。上品に見えるようにね。

Aさんは、その通り、足元は真っ赤、手元はシックに美しく、でした。

一般ピープルのそらは、ふむふむと聞きます。

新しいマニキュアがきたので、使いかけの古いマニキュアを、いらなかったら捨ててちょうだいと、そらにくれました。

そらは興味津々。古くなったとはいえ、どんな感じなんでしょう

さっそく帰って塗ってみましたらば。

100均のマニキュア愛用のそらには衝撃でした。

100均のマニキュア。キラキラしてても、いざ塗るとうすーくて、重たーくて。結局二度塗りでやっと発色し、光沢をだすために、カバー液を最後に塗っていましたが

いやーお高いのはすごい。塗るとかるーくて、なめらか~で、ひと塗りできれいな発色、光沢も申し分なし。

これが値段の差か…

そらはお金持ちさんと一般ピープルの差を感じました。

いいものはいい。

そらの

高くても本当にいいものを少しだけ、の精神はAさんから学びました。

普通に生きていたら交わらないであろう人たちと交わることのできるこの福祉のお仕事。いいお勉強をさせてもらってます。

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